草の森大冒険

ナンセンスの大家、草森紳一の書庫「任梟盧」を冒険します。

任梟盧ブッククラブの誕生

本年初めの新年会を2月10日、帯広の「あがり框(かまち)」でアルコール抜きの昼食会という形で行った。参加者は、宗像氏、廣川氏、T氏、ゲストに吉田政勝氏と久野氏、当方の6人。

廣川氏は草森さんの縁戚、吉田氏は北海道新聞の「朝の食卓」というコラムを2年間書かれ、「モモの贈りもの」という琴線に触れる話を散りばめたすばらしいエッセイ集の著者、久野さんは、歌が大好きできれいなお声の女性である。

会場にはスクリーンがセットされてあり、自己紹介の後、プロジェクターで児玉清の司会の「知られなかった手塚治虫」という草森さんたちのDVDを見ながらの食事会であった。手塚治虫の苦しさに焦点を当てたものである。娘さんのるみ子さんの回想もあって充実したものであった。

手塚治虫を論じる草森さんと会食風景

本日の議題は、昨年話し合って名称が決まった、「任梟盧ブッククラブ」の設立についてであった。任梟盧の活用と保存を進めるための方法を模索するための会である。

任梟盧に併設してカフェでもあれば、そこでゆっくり蔵書を読むことができるのだが、任梟盧だけでは狭すぎてそれが叶わない。そこで、貸出しを可能にしたらどうかという案がでた。そこで会員制にして、身元のはっきりした方であれば、問題ないのではないかと考えたわけである。蔵書はみな草森さんの手択本であるから、いろいろ傍線や書き込み、付箋があったりする。それがまた面白いと思うのである。

しかし、貸出しするのは、遺族の方にとっても紛失や破損のリスクを背負うことにもなるので、心配事が増えることでもあるから、これが許されるならば、我らは大いに感謝しなければならない。

では、貸出しを考えないで、広く任梟盧を活用してもらうにはどのような方法が考えられるであろうか。

そう考えたときに、ある光が差してきた。

それは、目録の完成のために会員に手伝ってもらうことである。

もう全数の把握と署名や作家名などの主要な項目はデータとしてエクセル入力は済んで15000冊余の蔵書を確認した。しかし、校正と未入力の事項はまだまだ残っている。

これらをすべて完了するには、まだまだ多くの労力がいる。現に大谷短大に寄贈された32000冊も目録整理に20名以上のメンバーでも10年以上かかっている。月一の活動であるから年に240名、つまり延べ2400名以上のボランティアを必要としてきている。これを考えれば、任梟盧の整理にもこれから延べ1000名程度は必要ということになる。しかし任梟盧は狭いので、一度に入れるスペースは5,6人が限度である。

そうすると、会員には作業希望日をもとにしたローテーションの割り振りを行えば可能となるはずである。そして作業の合間に読書に耽ってもらうもよし、作業に専念してもらうもよしとするのである。

さらに、任梟盧の将来を考えれば、その会をいずれNPO法人にでもしていければ、永続の光も見えてこようと思うのである。

規模は地元だけに限らず、全国どこの方でも会員になることが可能としたいとも思う。

機会があれば、当地に来られればよいし、来られなくても何らかの形で情報提供はできるであろう。

今回はこの任梟盧ブッククラブの設立報告でした。現在T氏を都合により除いて4名(佐藤、宗像、廣川、吉田)の創立メンバーで運営をしていくことになりました。入会ご希望の方は当方までご連絡のほどを。

吉田氏宛の草森さんの手紙を見せてもらいました。毛筆の長い手紙もあり、大変興味深かったです。