草の森大冒険

ナンセンスの大家、草森紳一の書庫「任梟盧」を冒険します。

60年ぶり奇跡の再会

任梟盧の北面は、天蓋の縁から長年浸み込んだ漏水で、腐食の進んだ大型本の多いところである。その一角に、昭和28年発行の自筆自装の漫画本があった。 変色や表紙の破損など少しはあるのだが、奇跡的に腐食を免れていた。 1939年生まれの池原昭治さんが、中…

任梟盧を訪問された人々

6月19日に交流懇親会を帯広の「平和園本店」で行いました。二次会は喫茶「黒船」でした。とても有意義な楽しい会になりました。ありがとうございます。 喫茶店「黒船」にて 草森さんとがっぷりと心の底から付き合っていただいた方々ばかりで、はるばる東京か…

今年初の草刈り

72侯では蟷螂生(かまきりしょうず)のこのごろですが、十勝ではカマキリは見たことがありません。 任梟盧周辺もタンポポの花が灰色の丸い球になり、その種が飛び散り始め、他の雑草も大分生い茂ってきたので草刈りを行いました。 草刈前 完了 草を刈ると、…

絵本作家の読み聞かせと草森マンガ塾Ⅱ

十勝にも満開の桜がやってきた中で、任梟盧ブッククラブ2回目の会を前回と同じ「あがり框」で12時から15時まで行った。 今回のゲストは、絵本作家の「がもう ともえ」さんと、ロンドン在住の「HIsako Conroy」さんであった。 がもう ともえさんはご自身の絵…

任梟盧ブッククラブの誕生

本年初めの新年会を2月10日、帯広の「あがり框(かまち)」でアルコール抜きの昼食会という形で行った。参加者は、宗像氏、廣川氏、T氏、ゲストに吉田政勝氏と久野氏、当方の6人。 廣川氏は草森さんの縁戚、吉田氏は北海道新聞の「朝の食卓」というコラムを2…

批判より「いいね」

何とか、任梟盧の全蔵書のリストが15000冊を超えて先が見えてきたので、冒険子は草森さんの膨大なノート類の整理を始めた。単なるメモから、新聞雑誌の切り抜き資料、学生時代、婦人画報社勤務時代のダイアリー、書きかけの原稿まで145冊ほどある。 草森さん…

50年前の和田誠の似顔絵集

11月13日に第三回目の任梟盧公開を無事終えて、一段落したのだけれど、その後もボチボチと遠方からの見学希望の連絡が入ってくる。小樽と札幌からの数名が、はるばる車で来てくれました。 草森本愛読者ばかりでなく、任梟盧設計の山下和正氏の建築に興味を持…

さあ、準備ができましたよ、草森さん。

永井優子さんというきれいなご婦人から、任梟盧に寄付していただいたテーブルセットですが、麻雀やるのにちょうどいい大きさですよ。せっかくなのでセットしてみました。ここで九連宝燈でも狙ってくださいな。では、気の合う面子を集めてください。あっ、そ…

面白マンガ解読塾--草森マンガ塾の始まりはじまりー!! 世界初の大人の塾(たぶん!?)

ストーリー・マンガに熱中する人は多い。しかし、一枚ものマンガには、とんと関心を向けない日本人のなんと多いことか。マンガといえば外国ではむしろこちらの方が主流のようなのだが、ジョークやユーモア、エスプリという機転の利く話術にたける欧米人にと…

子供の冒険心にはカナワナイ!!

任梟盧の月一の一般公開が始まって2回目が無事終わる。 先月も子供連れの家族が、といっても小学生くらいだが、見学に来てくれたが、 今月は入学前の幼児を連れた家族も2組ほど来てくれた。 螺旋階段を怖がる大人も多いのだが、子供たちには格好の遊び場らし…

任梟盧の公開

昨年から準備してきた任梟盧の公開ですが、やっと9月から実現できるようになりました。公開用のチラシと地元紙の新聞記事でお知らせとします。 公開用チラシ表 チラシ裏 2022.8.8 十勝毎日新聞より

幻の「史記」

とんでもなく珍しい本があった。草森紳一訳の「史記」である。 奥野信太郎編集 中国文学名作全集1 1967年に盛光社からの出版である。 奥野氏は慶応時代の草森さんの恩師。彼が一目置いていたまだ20代の草森さんにこの訳をまかせたのだろう。ただ全文ルビの付…

ナンセンスは地球を救う?

もう50年以上も前の1966年、草森さん28歳の時分に書かれた一文であるが、「ナンセンスの練習」の迷宮に迷い込んだ。実に込み入っているが、これが草森さんの本領だろう。非常に益のある議論であった。センスあるナンセンスからセンスを超えたナンセンスを求…

草森マジック

久しぶりの投稿です。 実は冒険子は、昨年からは少し本格的に任梟盧と関わるようになりました。 高齢者となり、時間ができたということもあるのですが、蔵書の傷みが激しく、なんとかこれ以上の劣化をくい止めたいというご遺族の要望を、冒険子も同じ思いで…

年賀

皆さん、明けましておめでとうございます。やっと今年で古希を迎えます。人生は長いような、短いような、でも考えてみると、いつも「今」でした。この今そのものの精一杯の充実、これからも元気にやれたらいいなと思っています。今年もよろしくお願いします…

近況報告

またまたご無沙汰してしまいました。草の森冒険子は、1年ほどの八戸生活を経て、帯広の実家にこの3月に戻ってまいりました。無人になってガタガタになっていた家を補修し、整理し、何とか人が生活できる環境を整え、周辺の林、雑草除草や畑仕事に追われなが…

近況報告

ごぶさたしてしまいました。図書整理のボランティアの皆様の活動は、だいぶ進んでいるようです。 プロジェクト通信も発刊されて、活躍されていますね。http://d.hatena.ne.jp/s-kusamori/草の森冒険子は、しばらく福島県南相馬市で防潮堤等の建設のお手伝い…

歌よみに与ふる書

少し前になるが正岡子規のこの書をじっくり読んだ。 子規の歌や俳句についての考えが、先鋭的に書かれていて、非常に面白く読めた。万葉集、源実朝、橘曙覧を主に賞賛しているのだが、藤原定家や紀貫之の古今集の批判等、正に怖いものなしの子規である。 こ…

日本語の悲劇

仕事、入院、草森ボランティアとあわただしく過ごしているうちに、早くも一年が過ぎた。このままでは、何もしないうちに草森さんに会いに行くなんてことになるかもしれない。いやまだまだそれだけは勘弁してください。一年前は、それもまたよし、と達観的だ…

ボランティア作業

先月は、紳一さんの弟、草森英二さんとペアで、3時間ほど校正の作業をした。 担当したのは中国の詩関係の文献なので、読めない漢字が多く、なかなか難しいのであるが、英二さんは、高校時代から漢文の鬼才であり、伝説の人なので難なく作業が進んで二箱分完…

閑話その3ー萱吹流会社の興し方

大分ご無沙汰してしまいました。 会社を立ち上げたりして、この3か月、なかなか忙しかったのです。会社を興したのは、やむを得ない自己保身のためと、以前から考えていたある目的の実行のためです。もちろん、まだまだ漠然としているのですが、少しずつ明確…

閑話その2ー日本語は難しい?

前回、なんとはなしに、「読まさせられる」という表現を使ってしまったのだが、どうも気になって仕方がない。「読ませられる」あるいは「読まされる」などといういい方とどう違うのか、今ひとつはっきりしていないのが、原因のようである。何十年と日本語の…

閑話その1-同人誌

今回は草森ワールドとは直接関係はないが、私こと冒険子の最近の話題から少し書いておきたい。十勝のある文芸同人誌に所属して三年になる。詩が中心の年間誌なのだが、冒険子は詩人でもないのに、どういうわけか、同人として書くことになっている。もちろん…

北狐の足跡

昨年から白隠に興味を抱いているせいもあり、いろいろ調べていたのだが、そのうちにこの本にめぐり合った。また石川九楊さんの「近代書史」にいきなり書とは何かを教わってしまって以来、書に関心を抱き続けている。書について書かれたこの分厚い書物は、197…

女の魅力百景1 しぐさについて

なかなか、草森記念資料室までいけないので、最近読んだ草森著作品を紹介していきたい。硬軟両党なんにでも切り込める草森さんの、軟の方である。1990年の初版である。そのころ、一度読んでいたのだが、今回薦められて再読してみた。 「女のセリフ捕物帖…

ちょっと、変換

いよいよ、本題というところですが、ちょっと、方向変換をします。一般公開されている資料室を先に見ていった方がよいのでは、と思いました。草森紳一記念資料室は、大谷短期大学で週2日(火・金)の午後だけですが、一般開放されています。お茶も自由に飲…

大冒険の方法序説

さて、ようやく、任梟盧の本たちの紹介をしていきたいのだが、どう始めようか。 作成している目録通りに、一冊づつ紹介すれば、3万冊といわれる本の群、果てしもない。ただ目録を並べるだけでは、資料としての意味はあっても、つまらない。目録が完成すれば…

鍵騒動

8月13日 約束の10時に任梟盧に行くと、英二さんと高山さんが何やら玄関でもめている。どうしたのかな、と行ってみると、鍵が開かないという。ギザギザを合わせる普通のカギではなく、平板に窪みのある珍しい鍵なのだが、いくら回しても開こうとしない。…

大掃除

6月2日 高山さんに案内していただき、初めて任梟盧を見る。やはり、生前に一度ここの草森さんを訪ねるべきだったな、と思う。白い外壁は、三か所ほど壊れかけており、南面は頭の入りそうな穴が開き、そこから蔦の芽が顔を出している。高山さんたちが、ビニ…

任梟盧

任梟盧(にんきょうろ)とは、北海道十勝の生んだ知の巨人、自称「もの書き」こと草森紳一さん(以後、敬称は敬意を込めて気分によって省略します。)の3万冊ともいわれる比較的前半生に蒐集された書物を収蔵した書庫で、唐代の詩人李賀の一節から自ら命名…