草の森大冒険

ナンセンスの大家、草森紳一の書庫「任梟盧」を冒険します。

50年前の和田誠の似顔絵集

11月13日に第三回目の任梟盧公開を無事終えて、一段落したのだけれど、その後もボチボチと遠方からの見学希望の連絡が入ってくる。小樽と札幌からの数名が、はるばる車で来てくれました。

草森本愛読者ばかりでなく、任梟盧設計の山下和正氏の建築に興味を持つ人も結構多く、若き建築士にとって、任梟盧は興味深いもののようである。その反面、車椅子での希望者もいて、バリアフリーには程遠い内部構造であるので、残念だが遠慮してもらうしかない。

 

11月18日は、最初の草森マンガ塾を行った。

草森さんのご友人のO氏は参加を希望していたのだが、迎えに行ったら高齢のためか、準備ができていないようでキャンセル、その他のキャンセル3名ほどもあり、結局5人で行うことになった。

会場の茶戸庵は、小川沿いにあり庭が川まで続いていて、自然の風情を感じることができ街中ながら静謐なところである。畳の茶室もあり、庵主は自然茶の近藤美知絵のお弟子さんの家常さんである。

透明グラスに茶葉をいれたとてもいい香りのするお茶と、お汁粉、塩昆布などいただきながら、高山氏のセットしてくれたプロジェクターで上映開始となった。

機材は古くて解像度にやや不安はあるものの、絵の鑑賞には問題がない。

最初なのでわかりやすい似顔絵で楽しんでもらおうと、任梟盧の大型本のコーナーから和田誠の「PEAPLE」’73年刊を選んだ。昭和の懐かしの作家、芸術家、俳優、歌手、スポーツ選手など多岐にわたる著名人たちの似顔絵が次々と流れる。それを当てっこしながら、知らない人に当てた人が説明を加えていくのである。思い出せるし、人物の特徴が似顔絵によって明らかになるのでとても面白かった。

武満徹の時は、なかなか名前が出なかったので、ついでに彼の作品を知ってもらおうと思い、谷川俊太郎作詞の「死んだ男の残したものは」という曲を youtube で検索してテノール歌手の榛葉樹人氏のものを聴く。他に小室等のものもあるが、この方がこの場にはふさわしかったかもしれない。この曲は、冒険子もとても好きな曲で、何番目かのフレーズ「死んだ兵士の残したものは、こわれた銃とゆがんだ地球、ほかには何も残せなかった、平和一つ残せなかった」などは、まさにこの時代にも通じていることでもある。

ただ残念ながら、この本も漏水により2割ほどシミが入り傷んでしまっているのである。ともあれ、何とか判読できる部分を残せたことは幸いであった。

 

終了後、雑談の中で任梟盧活用のために会員募集をして、貸し出しを可能にしたらどうかという案がでた。確かに、この方法はまだ出ていなかった案ではあるが、よい方法であるように思われるがどうだろうか。任梟盧には、貴重本が多い。それも社会的に活用できなければ意味がないであろう。ただの宝の持ち腐れである。何とか運営法を確立したいものである。